2021年06月19日

人間の本質にせまる科学  自然人類学の挑戦

東京大学の教養(1〜2年生)で使用するために、最近出版されたばかりの教科書。15章に分かれて、その道のトッププロが最新の研究結果から得られた内容を噛み砕いて解説している。
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2021年06月17日

愛知県の縄文遺跡

 日本における縄文時代の遺跡は西日本が1/10、東日本が9/10といわゆる西低東高の配置になっている。その原因の一つには、中部地方から東北・北海道にかけての食料事情が良かったことが考えられるという(『日本人の起源』中橋孝博著、講談社学術文庫P.168)。そして東日本の縄文文化が西日本へと流れていったと考えられる、ということは、石器時代人や初期の縄文人が日本列島に流入したのは、北日本からという状況が考えられる。

 そうした状況下で、では、ご当地愛知県内の縄文遺跡は渥美半島に3カ所発見されていて、いずれも考古学、人類学的価値が大変高いものになっている。

 伊川津貝塚は、渥美半島の先に位置し、縄文晩期人骨が300体ほど出土し、中でもその中の女性人骨が約8000年前の東南アジア(ラオス、マレーシア)の遺跡から出土した古人骨とゲノム配列が類似していることが判明している(ウィキペディア)。

 保美貝塚は、渥美半島の先端にあり、縄文晩期から弥生時代の土器や土器棺、人骨が出土している(ウィキペディア)。

 吉胡貝塚は、渥美半島の内陸側、豊橋市市から50Km程に位置し、縄文後期から晩期に属する人骨333体が発掘されている。遺骨には抜歯の風習が一般的に認められる。(ウィキペディア)

2021年05月29日

私の顔はどうしてこうなのか

『私の顔はどうしてこうなのか』
骨から読み解く日本人のルーツ
溝口優司 著
山と渓谷社 刊
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 溝口先生の一般向けに書かれた2冊目の本。国立科学博物館を退官される頃に出されたのが『アフリカで誕生した人類が日本人になるまで』(ソフトバンク新書)だった。

 今回の本で、溝口先生は独自の統計から面白い発言をされている。私の気になった点だけを挙げると、短頭化・長頭化には気候が影響していて、寒冷地では短頭化の傾向がある、と言う発言。シャベル型切歯は狩猟採集民族に起源がある、とする発言。縄文人の起源に、オーストラリアで発掘されたキーロー人が最も形質的に近い、と言う発言。などが印象に残る意見であった。

 最後の8章では、日本人の顔が将来的には顎の先が先細りの逆三角形型になり歯並びの悪い華奢な顔になると予想している馬場先生に対して、多様化による変異、変化を期待できるので、そうはならないと予想する溝口先生との対立する意見が出て、どちらももっともであるので、そこが人類の多様性に繋がり、また、実際問題、今日の日本では、各国からの様々な人種の移入があり、日本人と外国人との混血がかなり速度を早めて進んでいる関係から、まんざら溝口先生の意見も間違ってないように思えて来て、面白かった。
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顔の進化

『「顔」の進化』
馬場悠男 著
講談社ブルーバックスB2159
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 馬場先生が今までに書かれた本と多少重複する内容はあるが、日本人の顔の特性と人類の進化について、現在までに判明している知見をわかりやすく解説している。とは言え、解剖学用語があちこちに見受けられるので、人類学に慣れ親しんだ人にとっては問題ないが、一般的な人には、それなりに辞書を引く手間を覚悟せねばならない。
 日本顔学会の初代会長を務めた香原志勢先生の書かれたいくつかの著作からの引用も多い。それだけ、香原先生が顔学について踏み込んだ観察と研究をされていた証拠だろう。
 この本を読んでいると、思わず鏡で自分の顔を眺めてみたい衝動に駆られる。大ヒットした『大顔展』を思い出すが、日本人の顔が東洋人の顔であり、西洋人の顔とは骨格的には基本的に異なることをしっかりわかりやすく解説してあるので、いくら頭髪の色をブロンドに染めても、日本人的な顔の表情は変わらないと理解できた。
 そういえば知り合いの理容店の店主が、外国人の髪の毛はナイロン、日本人の髪の毛は木綿の糸と表現して、その違いを指摘していたことを思い出した。つまり、使うハサミが異なる、または、カットの方法が違うようだ。
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2021年05月27日

縄文の遺跡群 世界遺産へ

東北地方は縄文の遺跡群のメッカだ。日本全体の80〜90%を占めるらしい。
中日新聞
2021年5月27日朝刊第1面に掲載。
掲載の地図は今後の調査に(いつするのかは別問題だが)便利そうだ。
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2021年05月26日

先史時代の女性

『先史時代の女性』
ジェンダー考古学事始め
マーガレット・エーレンバーグ著
河合信和訳
河出書房新社 刊
1997年5月20日初版発行
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基本的には考古学の本である。副題にあるように『ジェンダー』つまり、男女の性差を意識しながら、主には、女性の立場で考古学の発掘を考えたら、今まで、何でも男性の立場だけで考えられてきた、狩猟、農耕、牧畜といったことが、何も男性だけの職場ではなくなり、古代より大いに女性の活躍していた場所でもあることを解き明かそうとしている、女性視点の考古学研究を提唱する本である。しかも著者は女性である。
 そのことを意識して本書を読み進むと、面白いことが色々あった。まずは、現代における問題に遭遇する。それは元総理大臣経験のある森さんが、オリンピック競技委員長の立場で、理事会に女性は不向きだと発言したことから、世界中から非難を浴びた件が目新しい。今や、日本の若いカップルの間では子供の養育に関しては、男女の差が無くなってきている。
昔は、おむつを替える、食事の世話をする、幼稚園の送り迎えをするということは、全て女性の仕事と考えられていた。
しかし、今や2021年の日本では、そうした仕事を男性が半分近くこなさないでは、女性の社会進出はままならない時代に変わって来た。

 ジェンダーという言葉自体、ニュースの媒体で、よく使用されるようになって来た。

 この本では、では、女性の活躍は、歴史上いつから見出せるか、という点から、まずは著者の所属する考古学会から調べてみた結果を歴史順に書かれている。当然、文字のない時代から始まり、最も我々に近い時代として、ギリシア・ローマ時代にまで順を追って書かれている。私にとっては、このギリシア・ローマ時代が最も面白い話であった。ユリウス・カエサルの『ガリア戦記』によれば、当時のイギリスには戦争で女性のリーダーが存在していたことが書かれていたこと。また、
タキトウスの『ゲルマニア』には、当時のドイツあたりでの農耕について、また、占い師について、女性の活躍を見出せること、決して男性側から見て、女性だからといって下位にみくびってみないことを例をあげて証明している。

 今や、世界で、日本でも遅ればせながら、ジェンダーという物の見方が定着しつつある中で、考古学の所見から、男性ばかりでなく、女性の位置、立場、仕事ぶり、さらに男性以上に崇められていた証拠に、葬られ方での、特徴ある副葬品などしっかりと列挙して、読者に説得する材料を提供している点が、ふといままで男性中心で考えて来た自分自身の考え方に
ずっしりと重いクサビを打たれた思いがした。

 それにしても、本書の訳出者、河合信和さんには本当に頭が下がる。一体何冊の人類学、考古学関連の本を訳出されているか一度きっちり調べてみたい。本書のあとがきにもあったが、河合さんは、この本の原本を言語で数年前(1997年よりも)に読み終えており、そのジェンダー論を、今日の日本の学会や社会にいち早く知らせたいという思いがあったそうだ。
何年か待ち望んだが、学会の先生方のどなたも訳出されないので、仕方なく自分で訳した、と書かれている。今までに数冊の訳出をされているので、訳された文章も滑らかそのもので読みやすかったことは当然だが、河合さんの語学力には感謝しかない。
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2021年05月24日

現生人類到達手掛かり 長野の「石刃」日本最古3万6800年前

中日新聞朝刊
2021年5月24日(月曜日)
長野県佐久市香坂山遺跡から出土した旧石器時代の石器「大型石刃」が、朝鮮半島経由で日本に流入したと考えられるという考古学的見解が述べられている。これはつまり、3万6800年以前に日本に人類が到達していたという証拠になる。038A336D-111D-43CD-AB75-6177CA0ED7D3_1_105_c.jpeg
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骨考古学と蝦夷・隼人

瀧川 渉 編
同成社 刊
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人類先史 曙

東京大学総合研究博物館所蔵
明治期等人類学標本101点写真集
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